■年次有給休暇の取得義務
労働基準法の一部が改正され、すべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、内5日については、使用者が時季を指定して取得させる事が義務付けられました。
この改正は2019年4月から施行され、有給休暇取得率を向上させることを目的に政府が作成した指針に掲げられています。
そもそも、なぜ年次有給休暇の取得が義務付けられたのでしょうか。
本来有給休暇とは、心身のリフレッシュを図るために労働者側から時季を指定して取得するものになります。
しかし、日本では「罪悪感がある」「ためらいがある」等の理由で有給休暇を取りづらいと感じている人が多く、過去には有給消化率が世界最下位レベルとなってしまいました。
その結果、休暇取得の促進が課題となり、有給休暇取得を義務化する事で消化率の底上げが図られるようになったのです。
今回はそんな「有給休暇」について、詳しい内容や、取得を義務化する上での効果的なポイントについて紹介していきます。
■年次有給休暇に関するルール
そもそも「自身の有給がどのタイミングで付与されるのかを知らない」「取得方法が分からない」という人が多いのも、有給休暇取得率が低い理由の一つではないでしょうか。
そんな方々のために、年次有給休暇の基本的な内容についてご説明します。
年次有給休暇とは
年次有給休暇とは、心身の疲労回復を目的として労働基準法に定められている「有給」の休暇の事になります。正社員・パート労働者の区別なく取得可能で、「有給」なので取得しても減給等の処罰は与えられません。
①原則となる付与日数
雇入れの日から6カ月間継続勤務し、その6カ月間の所定労働日のうち8割以上出勤した際には、原則として10日間の有給休暇が付与されます。
なお、対象の労働者の中には「管理監督者」や「有期雇用労働者」も含まれます。
また通常の労働者と、パートタイム労働者など所定日数が少ない労働者では、付与される日数が違うため、下記資料を参考にしてください。
②有給休暇取得のタイミング
有給休暇は原則として、労働者から請求のあった時季に与えるとされており、原則として使用者はそれを断る事は出来ません。
しかし、労働者が休暇を取得する事で、事業の正常な運営を著しく妨げる場合には、使用者には休暇日を変更する権利(時季変更権)が認められています。
※単に「業務が忙しいから」という理由だけでは、希望する有給の時季を変更する事は出来ません。
③有給休暇の繰り越し
有給休暇の時効は2年となり、前年度に取得しなかった有給休暇は、翌年度に繰り越すことが可能です。
(例)2020/10/1 10日有給付与 → 期限は2022/9/30まで
④有給休暇取得による不利益の禁止
有給休暇は法律で定められているものであり、休暇を取得したことによる
「欠勤扱い」「精皆勤手当や賞与の減額」「不利な人事考査」は禁じられています。
これらはあくまでも法律上で基準とされているルールとなります。「日数を増やす」「付与日を早める」など、基準以上の待遇は従業員にとって優遇となるため、制度として導入する事に問題ありません。
■有給休暇を取得させるための効果的な手段は?
有給休暇の取得は労働基準法で定められおり、使用者の権利である事をご説明しました。
しかし、利用者の立場から見たときには、「有給取得をしてほしくても、業務を優先されてなかなか取得してくれない」「ためらいを感じている社員が多い」という問題もあるかもしれません。
こういった社員が多い場合は、有給休暇の種類を増やし、少しでも取得しやすい環境を提案する事で取得率の向上が期待できます。
有給休暇の種類
「計画年休」
計画年休とは、使用者が計画的に有給取得日を設定する事を言います。
例えば8月のお盆の時季を社員一斉休暇としたい場合に、8月13日~15日(3日間)を計画年休として定めておくことができます。
なお計画年休を利用する場合には、労働者が自ら請求・利用できる有給休暇を最低5日残す等の決まりがあるので注意しましょう。
「半日休暇」
有給休暇は原則1日単位で取得するものですが、使用者が許可し、労働者が希望した場合には有給休暇を半日ずつ取得する事が可能です。
丸1日休むのは気が引けるけど、半日であれば、午前中に就業し午後から休むという事が可能なので、従業員にとっては比較的使いやすい休暇になります。
半日休暇は法律では定められておらず、企業が独自のルールとして運用する休暇になるため、午前の半日の方が午後の半日よりも短くなる、といった均衡を欠く可能性もある事を留意しましょう。
「時間休暇」
有給休暇は原則1日単位で取得するものですが、使用者が許可し、労働者が希望した場合には、年5日を限度に有給休暇を時間単位で取得する事が可能です。
1時間・2時間・・と時間単位での取得が出来るため、業務を少しだけ早めに切り上げて病院へ行く、などの使い方が出来ます。
■年次有給休暇の管理をラクにしよう!
年次有給休暇の付与日数は従業員毎に管理する必要があります。入社日や雇用形態によって付与日数は変化し、計画年休以外の取得タイミングもそれぞれ異なってきます。
そのうえ、法改正により5日の取得義務が定められたため、誰が・いつまでに・何日、の有給を取得したかまで管理する必要が出てきました。
法律で決められている以上、乱雑な有給管理を行った結果、法令違反となった場合には罰則を受ける可能性もあります。
少しでも管理リスクを減らしたいとお考えの場合には、勤怠管理システムの導入を検討してみるのもいいかもしれません。
弊社が提案する勤怠システム「勤怠Trust」なら、従業員毎に異なる付与形態にも対応する事ができ、手軽に勤怠・有給の管理をすることが可能です。
年次有給休暇において、しっかりと管理、運用を行いたいとお考えの企業様はぜひ一度、お問い合わせくださいませ。
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