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給与支払いの基本的な考え方:ノーワークノーペイの原則とは

 ノーワークノーペイの原則とは、労働者が「労働」の提供を行わなかった時、つまり働いていない場合には、使用者(企業側)はその部分についての賃金を支払う義務はないという、給与計算の基本原則の事を言います。

 このノーワークノーペイの原則は「労働なくして賃金なし」の考えに基づいており、遅刻や早退をした場合に、その時間分の賃金を支払う必要はないという事になります。

これはペナルティーではなく、あくまで「企業は労働者に、労働している時間分に対して賃金支払いをしている」という風に考えたら納得できるかと思います。

 しかし、地震や台風による自然災害の遅延や、企業と労働者どちらの責任でもない不可抗力による休業の場合には、この原則は適用されるのでしょうか。

 今回は「ノーワークノーペイの原則」の説明や、どんな場面で適用され、どんな時には適用されないのかをご紹介していきます。

ノーワークノーペイの原則とは

 労働者と使用者の間では、労働者による労務の提供と、使用者による賃金の支払いの「双務契約」が定められています。

 つまり労働者には、労務の提供を行った場合にのみ、その労務の対価(=賃金)の支払いを使用者に請求する権利が発生するのです。逆に言えば、労務の提供を行ってない場合には原則、請求権は生じないとされています。

 例えば9時始業の企業にて、労働者が1時間遅刻して10時に出社した場合、企業は労働しなかった1時間分の賃金を支払わなくてもいいとされており、これをノーワークノーペイの原則と言います。

 なおノーワークノーペイの原則とは厳密には法律で定められているわけではなく、民法第624条に記述のある「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。」の内容が根拠と言われております。

 これは労働者が企業に対して賃金を請求できるようになるのは労働提供後という事です。つまり、企業は労働が提供されてはじめて賃金支払いの義務が生じるのです。

ノーワークノーペイの原則が適用される具体例

 労務を行わなければならない時間帯に労務を行っていなければ、該当の時間分に対して賃金支払いの義務がない、という事ですが、具体的にはどんな時にこのノーワークノーペイの原則が適用されるのでしょうか。

▶遅刻・早退

寝坊や体調不良など、私用の理由による遅刻と早退はノーワークノーペイの原則が適用され、その時間分の賃金を控除する事が出来ます。

しかし、遅刻の原因が公共交通機関の遅延などやむを得ない場合には、遅延証明書を提示させるなどの対応をとることで、遅刻とカウントしない会社が多いようです。

こういった事例に関しては、就業規則に明確に記載をしておきましょう。

▶台風・地震などの自然災害

台風や地震といった「労働者と使用者、どちらの責任でもない」ケースでも、ノーワークノーペイの原則が適用されます。

しかし、例えば大雪警報により交通機関が止まるおそれがあるため会社より「順次帰宅命令」が発せられた場合には、会社からの「命令」により労働者を帰宅させているので、労働者に決定権はないと考えられます。

このように会社都合で労働時間を繰り上げて労働を免除した場合、会社には休業手当の支払い義務や労働時間のみなしとして、通常通り賃金を支払う義務があるといえるでしょう。

▶会社命令の自宅待機

例えば材料の入荷が遅れ、工場を稼働できなかったという理由から自宅待機や休業を命じられた場合には、ノーワークノーペイの原則の適用外となり、会社は労働者の賃金を保証しなければなりません。

その場合、平均賃金の6割以上の手当を支払わなくてはいけないことが、労働基準法26条で定められています。

▶有給休暇

有給休暇は文字通り、「有給」で休むことができる制度ですので、休暇を取得しても賃金の支払いがされます。

近年は働き方が多様化しており、正社員だけでなくアルバイトや派遣社員、月給制や年俸制など、様々な働き方をしている社員を抱えている企業が多いでしょう。

ノーワークノーペイの原則は雇用形態や給与形態にかかわらず、全ての労働者に適用されます。(労働時間×時間単位で働いている時給制は含まれません)

また遅刻・早退・休業・有給・自宅待機・・など、シチュエーションによっても対応が変わってくるため、正しく理解し、運用をしなくては大きなトラブルに繋がりかねません。

正しく運用を行うために、就業規則や雇用契約書を見直すのはもちろん、管理システムの導入を検討するのも有効な手段の一つとなります。

弊社が提案する勤怠管理システム「勤怠Trust」では様々な働き方に対応しており、各個人ごとに遅刻早退時間のカウントが取れるだけではなく、私用の中抜け時間や欠勤申請など、労働時間を細かく分類分けして管理する事が可能となります。

労働者が労働提供を行った時間をしっかりと記録し、ノーワークノーペイの原則に沿った勤怠管理が行える環境を構築していきましょう。

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