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労働時間の「丸め」処理に気を付けよう

 所定労働時間を過ぎて働いたとき、皆さんの会社では「残業代」が支払われると思います。しかし、残業代の基となる1日の実労働時間の集計をするとき、「労働時間の端数を切り捨て、きりのいい単位に丸める」という対応をとっている会社もあるのではないでしょうか。

 確かに、給与算出を行う際に「15分単位で残業時間を切り捨てる」といった仕組みを設けておくと、勤怠の締め作業が容易になります。しかしこの仕組みは、一歩間違えると法律違反となり罰則が付く可能性があることを留意しましょう。

 なぜなら、労働基準法では「労働時間は1分単位でカウントする」事が原則とされており、「管理が楽だから」「出来るだけ残業代を削減したいから」と安易に丸め処理を行った結果、法律違反としてトラブルに発展する可能性が極めて高いからです。

 本記事では労働時間の丸め処理をしてはいけない理由や、例外についてご紹介していきます。

タイムカードを「15分単位」で切り捨ててはいけない理由

 そもそも「端数を切り捨てる」とはどういう意味なのでしょうか。

例えば、終業時間が18時の場合『18時20分まで残業をした時に「15分まで」は残業時間として集計されるけど、「16分から20分」までは残業扱いにはならない』=15分単位での切り捨て、という意味になります。この例の場合には、16分から20分までを合わせた、計「20分」を労働時間として残業代を支払う必要があります。

 以前は10分や15分単位での勤怠管理が一般的であり、「丸め」と呼ばれる15分単位での残業時間切り捨てが当然のように行われておりました。しかし、労働者の権利が重視された法改正により1分単位での勤怠管理が義務付けられるようになり、労働時間を切り捨てることは、労働基準法第24条「賃金全額払いの原則」に違反する事になります。

 したがって、労働時間を切り捨てる事は原則として違法となり、就業規則にそのような記載があっとしても、原則として当該記載部分は労働契約としての効力はありません。

 そしてもちろん、残業だけでなく、遅刻に関して丸めを行う事も禁止されております。5分の遅刻を「15分」とカウントし、給与から減額する計算は出来ないので気を付けましょう。

労働時間切り捨てには例外もある

 前項でご説明したように、基本的に労働時間の「丸め」処理は違反となり、労働基準法に違反した場合には罰則・労働基準監督署から是正指導、勧告を受ける可能性もあります。

 ただし一方で、事務処理の簡素化を目的として、以下の丸め処理に関しては例外的に認められています。

1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること

 賃金計算期間の1カ月間の残業時間について「30分以上1時間未満→1時間に切り上げ」「30分未満→切り捨て」とする事が可能となります。つまり、1カ月間の残業時間を、下記の通り計算する事が出来ます。

 ・残業時間が10時間20分の場合→20分を切り捨てて、「10時間」とする

 ・残業時間が10時間50分の場合→50分を切り上げて「11時間」とする

 注意すべきは、あくまで「1カ月単位」での時間外労働に対して認められている丸め処理であるため、日々の時間外労働・休日労働・深夜労働の時間数に対して丸め処理を行う事は出来ません。

 逆に「1日単位」で処理をする際に、端数を切り捨てるのではなく一律で切り上げる事は、法律で求められている以上の内容・対応であり、労働者にとっても有利な扱いとなるので問題はありません。

出勤打刻=労働開始時間??

 ここまでで「労働時間は丸め処理を行わず、1分単位で管理をしなくてはいけない」という原則についてご説明しました。

 しかしその場合、疑問となるのが「出退勤の打刻=労働開始(終了)」という方程式が必ず成立してしまうのか、という事だと思います。例えば始業時間が9時の会社であれば、8時30分くらいから出社している労働者もいるでしょう。少なくとも、9時ピッタリに出社→打刻を行う人は少ないと思います。

 こういった場合、早めに出社して出勤打刻をし、始業時間まで同僚と談笑をしていたり、朝食を摂っていたりする社員に対しても残業代を支払わないといけないのでしょうか。

 出勤打刻後、業務を行っていないこういった時間に対しては「労働時間」として取り扱う必要はありません。

 1分単位で支払いを行わなければならないのは、あくまで「労働時間」に対してとなります。そして労働時間とは「使用者の指揮監督のもとにあり、労働者が自由に利用できない時間」の事を言います。

 この定義で考えると、上記の例では早めの出社を命じている訳ではなく、また労働者も同僚と談笑するなど、自由に時間を使えています。となると、労働を開始したのは9時から、とみなしても良いでしょう。

まとめ

 このように、一言で「丸め処理を行ってはいけない」といっても、従業員の勤怠状況を正確に把握していなければ、知らないうちに法律違反をしている場合があります。

 そういったリスクを回避するために有効的なのが、「勤怠管理システム」の導入です。出退勤打刻・労働時間・1日単位の残業時間・1月単位の残業時間、を瞬時に計算し、人為的なミスが発生する可能性を下げてくれます。

 近年の人手不足などの背景から、管理作業に時間をかける事が出来ない・バックオフィス業務の効率化を図りたい、と考えられている企業の担当者様は是非一度、弊社の勤怠システム「勤怠Trust」までお問い合わせください。

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