少子高齢化に伴う生産人口の減少や、働く方のニーズの多様化などの側面から、昨今では個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方が推奨されています。
「フレックスタイム制」はその中でも、多くの人が耳にしたことある働き方ではないでしょうか。
フレックスタイム制とは、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決める事の出来る制度です。労働時間を効率的に配分する事が可能となり生産性の向上が期待出来たり、仕事と生活のバランスが取りやすい職場になることで労働者に長く定着してもらえるようになったり、と様々なメリットが考えられる働き方になります。
しかし、自由に出退勤を行っていいということは「遅刻や早退」という概念は存在しないのか、また「半日単位の有給」を付与する場合にはどんなことに気を付けたらいいのか、と不安に思う使用者も多いでしょう。
そこで今回は、フレックスタイム制を導入した際に気を付けなければならない「遅刻早退」「半日単位の有給」についてご紹介させていただきます。
フレックスタイム制に遅刻・早退は存在するの?
従業員が自由に勤務の時間帯を決められる制度であるフレックスタイム制では、遅刻・早退の概念はあるのでしょうか。この点に関しては「コアタイム」の設定の有無が重要になってきます。
フレックスタイム制が採用されている中でも、1日のうちで必ず就業しなければならない時間帯のことを「コアタイム」と言います。そのうえで、例えばコアタイムが「11時~15時」と定められている際に、11時過ぎに出社したり15時前に退社したら遅刻・早退の扱いになります。
しかし、コアタイムに遅刻・早退があっても1カ月の間で実労働時間に不足がなければ欠勤控除を行う事は出来ません。コアタイムに遅刻したから、すぐさまその日の労働時間から賃金控除するということは出来ませんので気を付けましょう。
それでは、フレックスタイム制を採用した場合には遅刻・早退の管理は不要ということでしょうか。欠勤控除の計算で使用する日ごとの遅刻早退管理は必要ありませんが、人事考課のマイナス要素として考慮する事は可能です。
必ず勤務しなければならないと会社のルールで定められているコアタイムに労働していなかった、という状況に対しては、始末書を書かせたり昇給や賞与査定に反映させたりすることは、社内の秩序維持のためにも必要だと考えられます。
それでも遅刻早退が直らない場合には、そもそも自己管理で本人の意思に任せて自由出社を行わせるフレックスタイム制が合っていないということになりますので、特定の従業員のみフレックスタイム制を解除し、通常の労働時間で就業してもらう必要もあるかもしれません。
フレックスタイム制の半日単位での有給休暇について
1日の所定労働時間が決まっていないフレックスタイム制では、所定労働時間の半分を有給とする「半日休暇」は存在しないように感じます。
しかし、フレックスタイム制では協定で「標準となる1日の労働時間」が定められており、標準となる労働時間の半分を半日有給として取得する事が可能です。
例えば1日の標準時間を「8時間」とし、半日休暇を「4時間」とします。月の労働時間の総枠が160時間の時に半休を3回取得した場合には、4時間×3回=12時間分は普通の有給と同様に働いた物とみなされ、残りの148時間分を労働していれば給与は満額支払われる、ということになります。
注意点としては、就業規則にきちんと半日休暇の取得に関するルールを定めておかないと、「コアタイムの11時~16時(うち休憩12時~13時)の4時間を半日休暇」という取得も有効になってしまう事です。つまり、労働者は半日単位で有給を取得しているの、実質丸1日働かなくてよくなってしまいます。
よって「午前半休の場合、午後のコアタイム〇時以降は勤務する事」「午後半休の場合、午前のコアタイム〇時までは勤務する事」などといったルールを、就業規則で定めておきましょう。
また同様に、就業規則に定めがあればフレックスタイム制であっても「時間有給」の取得も可能となります。
しかし、コアタイム以外の時間(フレキシブルタイム)に対して時間有給を使用する事は、そもそもコアタイム以外の時間については従業員に出退勤の裁量をゆだねるフレックスタイム制の制度と重複してしまうため、管理の難しさも含めてあまりお勧めは出来ません。
フレックスタイム制は柔軟な働き方を実現し、多くのメリットをもたらす制度です。しかしその反面、制度についてしっかりと理解をして適切な導入を行わなければ、逆に従業員を煩わせることになってしまいます。
働き方改革の一環としてフレックスタイム制を導入したいけど、どのように管理していいのか悩まれている場合には、自動で勤怠管理を行ってくれる「勤怠管理システム」の導入がお勧めです。
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